【坐禅作法104】時のいたずら
ちょっとはマシな坐禅作法 時のいたずら〜アニムスの歌を聴け5〜
〜アニムスの歌を聴け5〜
昏睡状態の豚
大学時代のサークル仲間の女の子が29歳で死んだ。
白血病だった。
卒業を控えた21-22歳頃から突然交際をはじめたサークル内の男女の片割れで、それはボクたちのケースと同じにみえた。
違っていたのは この二人が破局を迎えることなく結婚にまで至ったことである。
男の方は「勤め人は奴隷と同じだ」というボクと同じ哲学を持っていたから、25歳の頃にさっさと会社を辞めてしまった。
ところが、女の方は普通の女の子だったので、男の求道的性質に振りまわされる形になった。
求道者の生きざまというのは、一般人にはいささかきつい冗談にしか映らないものだ。
普通は、朝起きて仕事に出かけ、帰ったら食事をして風呂に入り、酒を飲むか、セックスして、眠る。
子供をつくり、その成長を見守り、老いに至って、その子供に見限られて、死ぬ。
それを何年もどころか何生にもわたって繰り返すのだ。
正気だったらとてもやっていられないことだから、生のすべてを麻酔をかけられた豚のように昏睡状態の中で生きる。
それが一般的な人生だ。
ところが求道者とは、そうした人生に疑問を投げかけた者である。
いまや麻酔から覚めて人間になりつつある。
生の苦痛を、その悲劇を、その馬鹿らしさを目のあたりにして、こみあげる怒りに直面している。
そこから昏睡状態に戻るのか、それとも覚醒するのか。
23-25歳の厄年の時分は、その二者択一を迫られ、覚醒の道を選んだ者だけが求道者として心の旅をはじめる資格を得るのだ。
一休道歌 下
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風狂の禅師・一休の和歌で学ぶ禅
こいつはイカシテル
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私たち、どうして別れなきゃいけなかったのかしら
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29歳で亡くなった女の子と最後に会ったのは25歳のことだったとおもう。
何しろサークル出身者同士の初の結婚だったから盛大なパーティが催された。
不釣合いな二人がその後にたどる経緯など誰一人として知るよしもなく、<<何だってこの二人が結婚するのかさっぱりわからない>>と思いながら、「おめでたい、おめでたい」などとワインを空けている自分が、舞台演出の音響効果みたいで場違いなところに来ている気分だった。
その席に大学時代の彼女も来ていた。
「私ね、会社クビになったの」
「どうしてまたクビになるまで残っていたのさ」
「まあね。アナタはどう?」
「システムエンジニアの資格もとったし、クビにはならないとおもう。どちらにしろ辞めようとは考えてるんだけど」
「そう、あいかわらずね」
「うん、あいかわらずだよ」
最後に彼女はぽつりと呟いた。
「私たち、どうして別れなきゃいけなかったのかしら。こんなに仲いいのにね」
それは、たぶん、『時のいたずら』というやつだろう。
木枯らしにふるえてる 君の細い肩
思いきり抱きしめて みたいけれど
今日はやけに君が 大人に見えるよ
ぼくの知らないまに 君は急に
かわす言葉もなくて すれちがう心
一人歩きだした 君を見つめて
むかし愛した人を 思い出しただけさ
今さら言えないよ それは君だと
時のいたずらだね 苦笑いだね
冷たい風が今 吹き抜けるだけ
(松山千春『時のいたずら』より)
この『時のいたずら』という歌を作ったソングライター・松山千春は典型的な早熟の天才で、彼の主題は22歳のデビュー曲『旅立ち』に象徴されている。
彼は22から27歳までの間に心の旅を準備するための歌を作り続けた。
ボクが好んで聴いていたのは中学生の頃だったのだけれど、ほとんど彼の歌どおりの人生を歩むことになってしまって、四十の坂をこえてから振り返って聴くと驚かされるばかりだ。
この歌にあるように、彼女はボクと別れてからわずか数年のあいだに急に大人になっていた。
もしかするとトラベリンバスに乗ろうとしていたボクを見送る決断をしたことで、昏睡状態から抜けはじめたのかもしれない。
会社をクビになったのは求道者の道を選ぶための絶好の機会で、そのとき彼女が選択の岐路に立たされていたことは間違いない。
ボクは人生の岐路に立たされてふるえている彼女を抱き寄せて後押してあげたかったけれど、何も言えなかった。
誰もが自分のペースで昏睡状態の麻酔から覚める権利がある。
彼女にはまだ準備ができていないように思われたのだ。
ボクらは別れて正解だったのだとおもう。
あのままボクらが結婚して、彼女を求道者の道へ引きずり込んでいたら、やはり29歳頃に彼女を失っていたかもしれないからだ。
さもなければ、ボクが自殺していたことだろう。
死はどれも自殺である
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そして、あなたは、死もまたあなたの観念であることを知って驚くだろう。
人々は自らの観念に従って死ぬ。
実際、深層心理学は、死はどれも自殺ではないかと疑っている。
その疑いは真実に近い。
フロイトはその観念に行き当たり、それを“タナトス”―死への願望と呼んだ。
すべての人の内側深くにそれがある。
それがあなたの死を決定する。
事故で死ぬのさえ、事故に会いやすい人々だ。
彼らは事故で死にたがっている。
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和尚『一休道歌 下』-P.43-44「第1話 量子的跳躍をする地点」
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人間の寿命はまったくうまくできている。
これ以上生きていても仕方がないと感じたところで、みずから幕を下ろすカラクリになっているのだ。
昏睡状態の豚と目覚めはじめた人間の結婚は、どうしたってうまくいくはずもなく、どちらかが確実に追い込まれ、おのずと死を招いてしまう。
そのため、ボクが麻酔から覚めて人間になろうとしたとき、とりつく島のない別れがやってきて、新しい伴侶と遭遇したのだろう。
男女の別れと出会いもまったくうまくできている。
黄金の華の秘密
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和尚は経典の解説をしているようでいて、実は心随観のコツを伝えている。
中国道教の真髄『太乙金華宗旨』で学ぶ心随観。
これは、いいね!
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十三歳位で人々は学ぶことをやめる
そのとき新たな伴侶となったぷっつんレディ4号はこう言っている。
「あなたがどうしてあんな大学のボンボンみたいお坊ちゃまたちと付き合っているのか不思議でならなかったわよ」
大学のサークル仲間は附属の男子校からあがってきた連中が大半を占めていた。
あるとき、サークル内の女の子から「附属校あがりの人たちって何か子供っぽいのよね、そう思わない?」と訊かれて返答に困った記憶があるのだけれど、たしかにそんな気がする。
精神年齢十三歳の大人たち
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いいかね、この傾向は多かれ少なかれどんな人間のなかにもある。
あなたは変わりたくはない。
あなたは変化を恐れている。
なぜなら、変化とともに新たな責任、新たな挑戦が生まれるからだ。
そしてあなたは新しい状況に対処できるかどうか不安に思っている。
古いものならうまく扱えるし、手際よくさばけるから、古いものに寄り添っているほうがましだ。
古いものは意のままに操ることができる。
新しいものはどうなるかわからない。
思い通りになるかもしれないし、思い通りにならないかもしれない。
学ぶことができるのは子どもたちだけだ。
子どもたちには何も過去がないので、しがみつくべき古いものがいっさいないので、いつでも喜々として学ぶことができる。
大きくなればなるほど学ぶことができなくなる。
十三才位で、人々は学ぶことをやめる。
それが彼らの精神年齢になる。
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和尚『黄金の華の秘密』-P.427-428「第十二話 六月に白い雪が舞う」
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ボクには女の子と恋に落ちる度に新たな挑戦をはじめてきたところがある。
13歳のときは初恋の相手が引越してしまったのに、どういうわけか いつかまた会えると信じていたから、それまでに人間として成長していたいと思っていたことがボクの支えだった。
また高校の教室でぷっつんレディ2号に話しかけられた時、彼女にふさわしい男になりたいと思ったことが、今でも微妙なところでボクを突き動かしているらしい。
早稲田大学の附属校とはいっても大学の推薦枠は限られていて学内には厳しい競争があったらしい。
とはいえ、それは引かれたレールの上をただ歩いていくだけのことだから、そこで変化を受け入れて運命の挑戦を受けて立つには、女の子と恋に落ちるのが手っ取り早い。
ところが、そこは所詮、男子校であるがゆえに、彼らが新たな挑戦をはじめる動機を与える要素がないのだ。
まさか女の子がいないからといって男の瞳にひとめぼれして恋に落ちるわけにもいくまい。
彼らの悲劇は、女の子と恋に落ちるべき多感な十代を男子校で過ごしてしまった結果、精神年齢が13歳で止まり、17-19歳の厄年を迎えたときには、すっかり昏睡状態の豚になっていたことだろう。
男は女によって創られる部分がある。
男の子の精神にとって女の子との恋愛は意外に大切なのだ。
女は男を人間にする
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女性は彼に形、実質を与える。
女性は彼が誰であるのか気づかせる。
自分の愛によって、彼女は男を創る。
あなたは母親の子宮のなかで創られるだけではない。
恋に落ちるたびに、あなたはそれぞれの女性によって創られている。
あなたが恋に落ちるたびに、女性はあなたに形、色、光沢を与えてくれる。
彼女はあなたを人間にする。
さもなければ、男は実に実に野蛮で、粗暴で、攻撃的で、無神経で、思いやりがない。
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和尚『一休道歌 上』-P.681「第十四話 深まりゆく神秘」
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ぷっつんレディ4号は、いい恋愛をして女を磨いてきていたおかげで、附属校あがりの彼らの素性を見抜いていたらしい。
昏睡状態の麻酔から覚めるにはそれなりに時間がかかるもので、そこは地道な積み重ねがものをいう世界なのだ。
きっと、精神年齢が13歳で止まらずに、その後も変化し続けてきた4号でなければ、ボクの伴侶はつとまらなかったとおもう。
一休道歌 上
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風狂の禅師・一休の和歌で学ぶ禅
こいつはイカシテル
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思ったよりも夜露は冷たく
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このときボクと4号の直面した状況を井上陽水と忌野清志郎が歌にしている。
思ったよりも 夜露は冷たく
二人の声もふるえていました
“僕は君を”と言いかけた時
街の灯りが消えました
もう星は帰ろうとしてる
帰れない二人を残して
(井上陽水・忌野清志郎『帰れない二人』より)
25歳のころは、23歳で入社してから二年半経過しようとする時期で、役職としては平社員から主任に昇格しようという時節だった。
ボクはその昇格試験の通知を受け取ったとき、4号と一緒に会社を辞めた。
それが街の灯りの消えた瞬間だったのだとおもう。
それまでは大学時代のサークル仲間と休日にテニスをしたりして宜(よろ)しくやっていたから、こうした日々がずっと続くものだと思っていた。
ところが25歳には風向きが変わる運命の岐路があったのだ。
矢沢永吉の『成りあがり』の中に、この25歳の岐路で起こる現象のお話がある。
矢沢永吉は23歳のときにキャロルというロックバンドでデビューしたのだけれど、ちょうど二年半経過した頃に解散しなければならなくなった。
昏睡状態に戻ろうとするメンバーと覚醒しようとしていた矢沢永吉との間に“感覚のズレ”が生まれてきたからだ。
25歳の感覚のズレ
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あの頃、オレというのは孤立してたわけ。
何故か、考えると思い当たることはたくさんある。
オレの主観にすぎないかもしれないけど、結局、オレって堅い男なのよ。
一緒にバカできないわけよ、親分肌っていうか…。
例えば。
これ、非難だと思って聞かないで欲しい。
オレは、スリクとかそういうものは嫌いでさ。
ああいうの嫌いなの、オレ。
オレたちの仲間というのは、当時やっぱり…。
「堅いヨ」なんて感じあるじゃない。
バンドマン的な意識っていうか。
そう、オレ、堅いのね。
やっぱり、そのあたりからも、ジョニーやウッちゃん、ユーとかの感覚とズレてきたことは事実だね。
「ウチのオトーサンは、堅いから」みたいな感じで、オレは見られてたわけよ。
ツアーなんか行くと、みんな他の部屋に集まってる。
なんか、やってるわけ。
オレの前では、そんな感じ見せないようにしてるけど。
オレは常日頃うるさいからね、ヤバイと思ってたんだろう。
そういう状態。感覚のズレがあるわけだよ。
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矢沢永吉『成りあがり How to be BIG―矢沢永吉激論集』-P.227「キャロル」
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街は静かに眠りを続けて
口ぐせのような夢を見ている
結んだ手と手のぬくもりだけが
とてもたしかに見えたのに
もう夢は急がされている
帰れない二人を残して
(井上陽水・忌野清志郎『帰れない二人』より)
ちょうどこの頃から、大学時代のサークル仲間たちも、ドラックはやらないまでも口ぐせのような夢をみるようになっていった。
企業戦士という名の賃金奴隷となり、人生に妥協するように洗脳されるには、入社から三年あれば十分らしい。
「どうせ自分はこの程度の人間なのだ」
「これでも自分なりに精いっぱい生きているのだ」
「周囲にくらべて自分はかなりマシなほうだ」
などの慰めの言葉をズラリと並べ、自分に麻酔をかけ続けて眠りこけていなければ生きていけなくなった彼らの前では、ボクみたいな求道者の男は、「堅いよ、オトーサン」みたいな感じで煙たがられる。
「おまえたちは本当に自分の人生を生きているのか?」
たとえ口には出さなくても求道者として生きはじめたボクの生きざまがそれを物語る。
彼らにとってはボクという存在自体が目ざわりなのだ。
親しかったサークルの後輩と結婚披露宴で話をしたときは、彼我の距離を思い知らされる結果となった。
「先輩、オレ仕事つまらないっすよ」
そう言った後輩にボクはこう答えた。「そう、だったら辞めちゃえば?」
「でも、このまま定年まで勤めあげれば企業年金もちゃんともらえるから…」
このときボクは本音を口走ってしまったのだ。
「えっ?そんなもののために働いてるの」
彼の態度が急変したのはその瞬間だった。
「僕には一千万円の貯金があるんです!」
ボクは最初、彼が何を言い出したのかよくわらなかった。
「へえ、そりゃあ凄いね、オレにはそんなにはないなあ」
そう答えたボクに彼はこう言った。
「ほら、ボクの方が上じゃないですか」
人生に妥協するかのように結婚を決めた彼の抱える負い目は、触れるだけで痛がる全身やけどのようで、すでにボクの知っている彼ではなくなっていた。
もう後もどりできなくなったことを痛感したのは、そのときだったとおもう。
思ったよりも夜露は冷たかった。
大学時代に『成りあがり』をバイブルのように読んでおいてよかったと思ったのはこのときだ。
おかげで20代で訪れる運命の試練の時節をあらかじめ知ることになったし、なにより矢沢永吉の言葉が彼らと訣別する勇気をくれたからだ。
10-20代は下手な禅語録より『成りあがり』を読む方がよほど役に立つ。
絶対パンクだよ。絶対に解散。決めた。
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オレっていうのはね、メチャクチャ安心してないと気がすまない男なんだよ。
でも、やってることは、常に不安だらけ。
どういうことかって言えば、安心したいがために、行動する。
だから、行動が早い。
自分で、いろいろ分析してみたよ。
どうしてもダメだとわかった。
風向きが、そうなってた。
「オッケー、わかった。やめよう」結論が出るわけ。
オレって男はね、最初止めるじゃない。
でも、「もういい。わかった、おまえらの言うとおりにしよう。解散しよう」 そう言ったらね、もう戻らない。
誰が止めてもダメだからね。
絶対パンクだよ。
絶対に解散。
決めた。
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矢沢永吉『成りあがり How to be BIG―矢沢永吉激論集』-P.232「キャロル」
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ボクも彼らとはもう会わないことに決めた。
氷の世界
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1973年―井上陽水25歳のアルバム
『帰れない二人』収録
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オレの腕まくらおまえは眠れそうかい?
会社を辞めたときの表向きの理由は、公認会計士の受験勉強をするためだったのだけれど、いまおもえば辞める口実は何でもよかったのだとおもう。
いわゆる“社交上の当座まにあい”…口からでまかせというやつだ。
ただ人生をリセットしたかった。
<<この先何年かかるかわからないけれど、今度社会に戻るときは別人になっていたい>>という想いだけがあった。
だから公認会計士の資格をとって一体何をしたいのか。
もちろんそんなヴィジョンはない。
はじめからそんな動機しか持ち合わせていないのだから、合格することはパンダが縄跳びをするより難しい。
そんな無謀な計画に4号を付き合せてしまったわけだから、なかば彼女をダマしているような罪悪感を抱えながらの船出となった。
この井上陽水の『闇夜の国から』は、そんなボクらの心象風景を的確に描写している。
闇夜の国から二人で船を出すんだ
海図も磁石もコンパスもない旅へと
後ろで舵とるおまえはあくびの顔で
夜の深さと夜明けの近さを知らせる
(井上陽水『闇夜の国から』より)
いまや帰れない二人となった男女は闇夜の国から出帆(しゅっぱん)する。
自分たちがどこへ向かっているのかもわからず、そこにあるのは<<船出の時が来た>>という予感のみ。
そのとき舵をとるのは女性だ。
海図も磁石もコンパスもない状況下では男の知性は役に立たない。
彼女の直感だけが頼りである。
その能天気なあくびは男の不安と焦燥を鎮める特効薬となり、自然、帆をあやつる腕に力も入る。
彼女の直感は自分たちのいる座標と夜明けの近さを告げ、その声に励まされるように男は勇気を育む。
船出の理由を確かめあうこともなく
未来と将来の区別もつかないまま
言葉の軽さを二人で笑い続けて
オレの腕まくらおまえは眠れそうかい?
(井上陽水『闇夜の国から』より)
もしも女が船出の理由を男にたずねようものなら、この旅は立ち行かない。
男は確固たる信念などないまま、船出の衝動にかられて口からでまかせを言っているだけなのだ。
ただいつの日か。
必ずこの船出の意味を見つけ出す。
それまで信じて待っていて欲しい。
そんな絵空事のような軽い言葉を誰かが小耳にはさんだら、たちまち彼女は非難されるだろう。
「あなた、その男にダマされてるのよ!」
それでもついて来てくれたことが男は嬉しいのだ。
だから、少なからずの罪悪感を抱えながら、あくまでも胸の内でこうたずねる。
<<オレの腕まくらおまえは眠れそうかい?>>
一人の国から今夜 闇夜の国から二人
二人で船を出してゆく
(井上陽水『闇夜の国から』より)
きっと独りぼっちの船出だったら男は途方に暮れていたに違いない。
そばに女性がいなければ男は夜の深い闇のなかで海原をどこまでも漂いただの流れ者になってしまう。
男の夢に翼を与えるのはいつだって女性なのだ。
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これ以上心にうそはつけない
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会社を辞めてからの約一年間。
東京・水道橋の予備校に二人で通って公認会計士の受験勉強に専念してみたものの、爪あとさえも残せないくらいの見事な不合格となった。
その一年間は予備校の用意してくれた寮に入っていたのだけれど、出費を抑えるために札幌の実家に帰ることにした。
今はただ あてもなく 風にこの身まかせ
よせる人波に さからうこともできず
帰ろうか 帰ろうか まだ寒い北国へ
だけどそこには 僕の愛した人がいる
夢を見て 夢を見て 遠い街にひとり
だけどこれ以上 心にうそはつけない
帰るんだ 帰るんだ まだ寒い北国へ
弱い男と呼ばれても かまいはしない
あふれた涙は いつしか乾きはて
何もできず過ぎた 時がはかない
つかれ果てた夢は 色あせて
(松山千春『帰ろうか』より)
まるで松山千春に予言されていたかのように、まったくこの歌の通りになってしまった。
もしも中学生のボクに「これは君の将来の歌だよ」なんて言ったら、鼻クソを飛ばされていたことだろう。
とはいえ運命の試練の各場面を的確に描写しているインスピレーションの歌を見つけると自分の行動が間違っていなかったことがわかる。
人生はどこでどうなるかわからないけれど、まっすぐに生きていれば、そのたどる過程はみんなだいたい一緒になるのかもしれない。
こうして札幌に帰ったとき。ボクは27歳になっていた。
(2016.4)
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