トップ写真 ゆんフリー写真素材集

【第三話】ホントの得度50円

閑雲野鶴 ホントの得度50円

Presented by

正直者はバカをみるのか?


お久しぶりの芥川

久しぶりに芥川作品を読んだ。

矢印マーク 蜘蛛の糸・杜子春 (新潮文庫)
表題作は言わずと知れた作品。
ペンの走った時の芥川龍之介の類まれなる文才に驚かずにはいられない。
「トロッコ」「白」に垣間見える文豪の荒い鼻息と静かに湧き上がる興奮に酔う一冊。
表題作は絵本などで内容を知っていたけれど、
しっかりと読んだのは初めてだとおもう。

また、この本に収録されている「トロッコ」は、
国語の教科書で読んだことはあったにしろ、内容をすっかり忘れていた。

こういう味わい深い名文に触れていたのに忘れていたとは…。
未だに文章力の乏しい理由を、こんなところにも垣間(かいま)見た。
もっと読み込んでおけば良かったと、今更ながら思うのだ。

ただ、芥川作品といえば忘れられない一品もある。

赤雲水

わが青春の映画たち

黒雲水

中学2年の学校祭の演劇で『羅生門』を演(や)った。

矢印マーク 羅生門・鼻 (新潮文庫)
わが中学時代のトラウマな一冊。
どこがいいのか教えてくれ!今でもさっぱり意味不明。
演目が『羅生門』なんて中学生らしくないものに決まったのは、
級友Hの一存(いちぞん)である。

ところがその後、言い出しっぺの責任を放り出し、すべてを丸投げして、
仮装部門に参加する、と級友Hは言い出した。

そんな無責任な行動を認めず断れば良かったんだろうけれど、
バカ正直な私は、Hの代わりに監督を引き受ける仕儀(しぎ)に立ちいたる。
就任依頼の理由は確か「映画好きだから頼むよ」という単純なものだったと思う。

その頃、好きな映画と言えばこんな感じだったと記憶する。
わが青春の映画たち
死霊のはらわた バタリアン エルム街の悪夢
燃えよドラゴン 少林寺三十六房 酔拳
男たちの挽歌 ゴッドファーザー アンタッチャブル
どうせ観るなら、ホラー映画かカンフー映画かギャング映画と決まっていた。
悲鳴と格闘と洒落た男のハードボイルドにとにかく飢えていたのだ。

確かに私は映画好きの友人に恵まれ、映画は好きだったけれど、
黒澤明監督の『羅生門』の存在は知らなかった。


羅生門とは駄作のこと…。

そんなだから、『羅生門』の文庫本を読んでみたところ、そのつまらなさに呆然とした。

死体の髪の毛をむしり取ってカツラ職人に売ろうとする老婆と正義感に溢れるニキビ面の男のエゴイズム!?

もちろん死体はゾンビに変身せず、老婆はカンフーの使い手ではなくタダの老いぼれ、 肝心の主人公は洒落たセリフ一つ語らず、おまけに、ニキビ面ときてる。
話にならない…、と右の頬にできたニキビを気にしながら思った。

そこで、『羅生門とは駄作のこと…。』と烙印を押したまではいいけれど、
その時の私に、それをパロディにするような発想はなかった。

仕方なく文豪・芥川先生の文章をそのまま丸写ししたような
つまらない台本を書き上げ、当然、つまらない作品ができあがった。

とにかく、この作品を私は恥じた。
小説そのままの長いセリフを覚えさせられた演劇メンバーは気の毒だったし、
駄作だと初めから分かっている作品なんだから、できれば公開したくないと願った。
出演者も観客もそして監督の私ですら、この演劇を楽しめないこともやりきれない。
何より、つまらない作品を作り上げた責任の私にあることが情けなかった。

私は体調を崩し学校で吐いた。吐き出しついでに、こう思った。

なんだよ。正直者はバカをみるぢやないか!

たぶん、この時から私の性格はネジれを加速し始めたと思う。

ピンク雲水

ホントの得度

青雲水

ところが、30歳を越えて坐禅を始めると別の角度からこの事件を眺めるようになる。

この作品の台本の提出期限は、ちょうど中間テストと重なっていた。
そのため、まったくの準備不足で試験に臨(のぞ)まざるをえなかったのだ。
にもかかわらず、その結果は、私の中学生活史上、最も良い成績だったのである。
思い返せば、この時学習のコツを掴んだので、塾通いを止(や)めたのだった。

さらに演劇も次回作のシンデレラパロディで観客を抱腹絶倒させることに成功した。
この時は意外な協力者が次々に現れ、リベンジを後押ししてくれたのである。
こうしてオトシマエをつける機会もちゃんと用意されていたのだった。
心残りは、ゾンビを登場させなかったことぐらいだ。

それに、ちょっとズルイところのあった級友Hの話にも蛇足(だそく)がつく。
Hは中学三年の卒業間近にパン代の不足額50円を私から借りた。
高校の合格発表の後、合格した生徒は中学校へ報告しに行くことになっていたので、 その時に返してもらう約束だった。

ところがHは来なかった。見事に落っこちたからである。

天網(てんもう)は恢恢(かいかい)、疎(そ)にして失せず(老子・徳経73)
(意訳:何事も結局、自分でオトシマエをつけることになる。)

その時は分からなくても、後になって人生を俯瞰(ふかん)すると分かることもある。
それは、「神のみえざる手」「み仏の慈悲」が確かに働いていたことに気づく瞬間だ。
その時こそ、ホントの洗礼の時であり、ホントの得度(とくど)の時だと私は思うのだ。

旧友Hからの50円は未だに返ってこないけれど、
ホントの得度の御代が50円で済むなら安いではないかと今では思えるのだ。


肴はとくにこだわらず厳選情報

HPランキング参加中!

凡人たちにも本物のスピリチュアルを!

ワンクリック運動に参加しませんか?

ブッダの瞑想法―ヴィパッサナー瞑想の理論と実践

坐禅入門の決定版!

心の欠陥を克服する唯一最善の方法は坐禅・瞑想を実践することです。そして、この本以上の坐禅・瞑想の入門書を私は知りません。

5つのチベット体操-若さの泉・決定版

これはエクササイズの革命だ!

たった5つの体操を毎日続けるだけで体調は良くなるわ、痩せるわで驚きの効果が・・・!?食事に関するアドバイスも実に簡潔で的を得たもの。これはエクササイズの革命だ!

決定版 真向法

チベット体操と併せてどうぞ。

たった4つの体操を毎日続けるだけで怪我を予防するための柔軟な筋肉を作れます。チベット体操と併せてどうぞ。

魂をゆさぶる禅の名言

何にもならない坐禅はやめよう!

坐禅は単なる心の慰めではありません。坐禅を人生に役立てるための智慧がここにあります。救いのある仏教の入門書。